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高森明勅
2020.3.23 06:00皇統問題

皇嗣と皇籍離脱

皇太子と「皇太子でない皇嗣」の違い。
それは制度上、“皇籍離脱(皇族の身分から離れること)”が
可能かどうかに、端的に示されている。
皇太子は勿論、ご本人の意思でも皇室会議の議決でも、皇籍離脱は一切認められない(皇室典範11条2項)。これは、皇太子が次の天皇であることが“確定”しているお立場だからだ。一方、皇太子でない皇嗣はどうか。
皇太子とは異なり離脱が可能だ。
これは、いささか意外な事実かも知れない。

しかし、皇嗣は元々、その時点で皇位継承順位が1位であっても、
必ずしも次の天皇であることが確定している訳ではないから、
特に驚くには当たらない。
皇太子でない皇嗣の場合は、その方が何らかの事情でやむなく
皇籍を離脱されても、継承順位が次(2位)だった方を
繰り上げれば、普通に対応し得るという考え方に基づく。

これに対して、皇太子ならばそうはいかない。
他に継承資格者がおられても、天皇の直系のお子様(皇子)なので、
「直系継承」という“あるべき”継承原則を堅持する規範的な要請から、
皇籍離脱の可能性は制度的に排除されねばならない。

皇籍離脱の可能性があるか、無いか。
それは天地の隔たりと言うべきだろう(但し特例法では、
まさに“特例”として、皇嗣たる秋篠宮殿下もこの点について、
皇太子に準じた扱いとした。5条)。

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https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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